手動
2022年11月8日から11月13日の6日間、東京ビッグサイトにて「第31回日本国際工作機械見本市」が開催されました。
展示会は、工作機械の他、測定機器、機械工具、CAD、CAM等ソフトウェア等、幅広い領域をカバーしています。その中でも、ロボプラスが注目するトレンドを二つご紹介します。
1.ワークハンドリングによるワークフロー自動化
工作機械に関連するハンドリング(ロボットによるものの移動)には、主に「パレットハンドリング」「ツールハンドリング」「ワークハンドリング」の3つがあります。
パレットハンドリング:製造物を載せるパレットを移動させる
ツールハンドリング:ドリル等の工具を移動させる
ワークハンドリング:製造物を移動させる
パレットハンドリングとツールハンドリングは工作機械に標準もしくはオプションで搭載されていることが多いため、作業を設定すれば、自動的に工作機械の中で動かしていくことが可能で、既に一定普及が進んでいます。
一方、ワークハンドリングはロボットに対してティーチングを行う必要があり、工数がかかるため導入が進んでいませんでした。
このような中、昨今の製造現場における人材不足もあり、自動旋盤向けを中心にワークハンドリングを備え、加工後のワーク取り出し以降の工程も自動化するようなソリューションが出てきました。
例えばシチズンマシナリーのCNC自動旋盤は協働ロボットを活用することでハンドリング、簡易洗浄、エアブロー、外観検査、パレタイジングまで自動化することができます。
多品種少量生産が多い中小企業の製造業者にとってワークハンドリングは省人化の実現、品質の安定化、納期の短縮の観点から、今後注目していく価値がある製品です。
出所:シチズンマシナリー
2.切削加工機の自動プログラミング
切削加工を行う際には工作機械の設計データを加工データに変換する必要があり、多くの加工業者では人力で作業しています。
このような作業をソフトウェアがAIを使い自動で行うソリューションが登場し、今後普及していく可能性があります。
例えば、COMlogiQというサービスは案件情報と3Dデータを登録し、公差穴やねじ穴等の追加情報を設定すると自動でNCデータ、加工手順書を作成します。
このようなロボットシステムが普及することで、多品種少量品の設計~製造~出荷までの工程の大部分が自動化され、人手をより付加価値の高い領域に回す等、製造現場の変革が進んでいく事が期待されます。
1.自動化導入で新たな課題!?
フラットなベルト状の板金とボルトの溶接をロボットで実行しているお客様の例です。
5本ずつ部材をセットして溶接ロボットで溶接をするのですが、スラグがボルトのねじ部に飛び散ってしまうため、溶接後にダイスでねじ部についたスラグを削り落としているのです。
お声変えいただいた時には、このダイスを使ったスラグ除去工程を自動化できないか、というご要望でした。
しかし、工程上の問題点はより前工程で潰しておくことが基本ですので、そもそもスラグが飛び散らない方法を検討・提案することにしました。
2.全て自動化ではなくアナログを残す!!
全てを自動化することは理想ではありますが、継続して生産している現場の方の意見としては、まだまだ、人の手で実行するアナログ部分が残っていた方が安心できる面があるとのことです。
その理由としては、
・自動化の機械が故障したら生産がストップしてしまう
・なぜこの工程が必要であったかのノウハウが忘れられてしまう
・自動化を担当している人が不在となったら工程が止まってしまう
という点があげられ、必要な部分への自動化は実施しても手作業の部分を残しているのです。
今回のスラグ飛び散り問題については、溶接ロボットの動作に連動させて飛び散り防止カバーを提案したのですが、上記のような理由からカバーは手動で動くものであることを強くご要望いただいたのでした。
3.自動化の周辺サポートも
弊社では、自動化システムの導入をサポートしていますが、自動化に伴って必要となる手動の部分にもこだわりを持って開発・設計をしています。
また、今回の例のように、既存の設備に導入する際には、限られたスペースとなりますので、手動のユニットでも導入が難しい場合も少なくありません。
自動化にまつわる様々な生産現場での課題を解決する方法を提案してきますので、お困りの方はお気軽にお声かけください。