画像センサとハンドリングロボットを組み合わせた「鋼材検査ロボットシステム」を開発!!
キズの検出と検査・梱包工程を自動化!!
1.鋼材メーカーの悩み
厳しい検査基準の取り決めがない鋼材でも、図面に「キズ無きこと」と記されている場合には、目視検査の工程を入れるケースは少なくありません。
特にミガキ材となると、目視で見逃してしまうような小さなキズも、お客様からNG品として返却されることがあります。あるいは、出荷時にはOKでも、お客様の受け入れ時にキズが発覚して協議になることもあります。
こうした場合、仮に輸送時やお客様側の過失でキズが発生した可能性があったとしても、議論をするよりもNG品として代品請求を受け入れてしまった方が早いため、泣き寝入りしてしまうことがほとんどのようです。
なぜならば、キズの発生原因を追究したところで、加工工程を改善できる箇所は少なく、再発防止策としてできることは、より検査を厳しくする事しか方法がないからです。
外観検査の確認項目は、増えることはあっても減ることはほどんどありません。さらに人手不足も相まって工程が詰まってしまう、というのが鋼材メーカーの悩みでした。
2.外観検査だけではない!?梱包までを自動化するから導入が可能に!
近年、デジタルカメラの普及により、ロボットで外観検査ができるということは知られているのですが、初めてのロボット導入で戸惑っている、という相談を受けることが多くなってきています。
話を聞くと、ロボットを導入したとしても、オペレーション・維持メンテナンス・設備管理は必要になるのだから、このまま人の手作業と目視検査のままでいい、という判断に至って、検討が中断してしまうようです。
そこでおすすめなのが、一つの工程で自動化に踏み切れないのであれば二つの工程を自動化してしまう、という発想を持つことです。導入後の管理コストに対して、削減コストの足し算ができるため、ロボットに限らず自動化を検討する際には有効な考え方となります。
例として、今回紹介する装置は、検査をした後に、NG品はNGケースに、OK品は梱包ケースに梱包するまでをロボットが自動で作業してくれる検査ロボットシステムです。
下の画像における左手前のロボットが、鋼材をハンドリングしてカメラの前に鋼材を設置します。高精度カメラで撮影・検査判定が行われた後は、右奥のロボットが鋼材をハンドリングする形となり、梱包までを自動で実行してくれます。
このように、材料の受け入れから加工して出荷するまで、自動化によって改善される生産工程は一つとは限りません。
二つ以上の工程は難しいのではないかと考えずに、前後の工程を見直すことで自動化の導入がスムーズに進む可能性があることも覚えておくとよいでしょう。
3.初めてのロボット導入だからこそ思いを形に
当初、検査工程を自動化したいというご要望を受けてシステム開発を始めたのですが、ヒアリングを重ねるたびに課題とアイデアが抽出され、結果的に梱包までを自動化するシステム開発をすることができました。実際に装置が組まれてロボットが動き出した時の、お客様を含めた関係者の笑顔が忘れられません。
きっと、お客様の声を大切にして、構想から一緒に検討を進めて作り上げるからこそ得られる喜びも大きいのでしょう。お客様と作り手が感動を共にするというのも、自動化導入における一つの醍醐味であると言えるのかも知れません。